では、間接法の「営業活動によるキャッシュフロー」の作成方法から見ていきましょう。
間接法では、損益計算書の税引前当期純利益を元に、様々な調整をしていくことでキャッシュフローを表すように修正します。発生主義の損益計算書から、現金主義のキャッシュフローに修正する手続きと考えてください。
間接法の元になるのは、当期の損益計算書と、当期と前期の2期分の貸借対照表です。
間接法では、一旦、税引前当期純利益の分のキャッシュが入金されたと仮定します。しかし、税引前当期純利益は、キャッシュそのものではありません。例えば、会計上で売上が上がっていても、まだ売掛金を回収していなければキャッシュはプラスになりません。この場合は、利益から、まだ回収していない売掛金の分を差し引くことで、キャッシュフローを表すように調整する必要があります。
間接法のキャッシュフロー計算書を見ると、税引前当期純利益の下に、様々な項目があります。これらの項目が調整項目になります。
では、上から順番に見ていきましょう。
最初の、税引前当期純利益は、損益計算書の税引前当期純利益を転記したものです。これが、間接法によるキャッシュフローの出発点になります。ちなみに、当期純利益ではありませんので注意してください。
次に、「減価償却費」と「貸倒引当金の増加額」があります。これらは、非資金項目の調整と呼ばれます。
非資金項目は、損益計算書の損益のうち、キャッシュの出入りを伴わないものです。例えば、設備を購入したときには、毎期ごとに減価償却費という費用が計上されます。しかし、実際にキャッシュを支払ったのは、購入した年度だけです。それ以降の年度ではキャッシュの動きは無く、費用だけが計上され、その分、利益をマイナスしています。よって、利益からキャッシュを表すように修正するためには、減価償却費の分だけマイナスされている利益に、その分をプラスする必要があります。符号がプラスになることに注意しましょう。
貸倒引当金も同様です。貸倒引当金は、将来の貸倒れに備えて、貸倒れの見積額をあらかじめ当期の費用とし、貸借対照表に貸倒引当金を積み立てておくものでした。この場合の費用も、実際のキャッシュの動きは伴わないものです。貸倒引当金を積み立てた場合は、その分の費用が計上されて、利益がマイナスされています。よって、利益からキャッシュを表すように修正するためには、貸倒引当金が増加した分だけ利益にプラスする必要があります。このとき、損益計算書の貸倒引当金繰入額ではなく、貸倒引当金の増加額を記入することに注意しましょう。貸倒引当金の増加額は、当期の貸借対照表の貸倒引当金残高から、前期の貸借対照表の貸倒引当金残高を引くことで計算できます。貸倒引当金が増加している場合に、符号がプラスになります。
ここまでを例で見てみましょう。
図の例では、第10期の損益計算書の税引前当期純利益は700ですので、これを営業活動によるキャッシュフローの税引前当期純利益に転記します。
「減価償却費」については、損益計算書の減価償却費100を転記します。
「貸倒引当金の純増額」については、貸借対照表の貸倒引当金が第9期末の20から、第10期末の30に増加していますので、純増額10を転記します。貸借対照表上はマイナス表示されますが、引当金残高はプラスと考えて計算してください。
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