講座の後半の「重要論点」に進みましょう。
ここまでで、簿記の目的から仕訳の基本ルール、簿記の流れを学習してきました。ここからは、特に試験で重要な個別の仕訳を学習します。なお、実際の仕訳の種類は沢山ありますが、まずはこれからご紹介する重要論点をしっかり学習してください。その後、計算問題や過去問を解きながら実践的な知識に拡張していくのが良いでしょう。
最初は、「流動資産・流動負債」に関連する内容です。ここでは、「貸倒引当金」、「棚卸資産」、「手形」、「有価証券の評価」をみていきましょう。
はじめは、「貸倒引当金」です。
貸倒引当金とは、売掛金、受取手形などの債権額のうち、将来貸倒れになる可能性のある金額をあらかじめ見積もったものです。貸倒引当金では、決算整理において、来期の貸倒れ額の見積りを行い、貸倒引当金に積み立てます。また、期中において実際に貸倒れが発生した場合は、貸倒引当金から取崩しを行います。
まずは、決算整理事項である、貸倒引当金の設定を見ていきましょう。
貸倒引当金の設定では始めに来期の貸倒額を見積もります。将来の貸倒額は正確にはわかりませんので、過去の経験値に基づいた貸倒れの比率を元に計算します。来期の貸倒額を算出したら、貸倒引当金にその貸倒見積額を設定します。ここで貸倒引当金には、当期の貸倒引当金の残高が残っている場合がありますので、当期の残高に、足りない分を積み立てることになります。そのための方法として、「差額補充法」と「洗替法」の2種類があります。
「差額補充法」は、来期の貸倒見積額と、当期の貸倒引当金の残高の差額を、貸倒引当金に追加する方法です。
「洗替法」は、いったん貸倒引当金の残高を0にして、その後、来期の貸倒見積額の全額を設定する方法です。
例を見ていきましょう。当期の売掛金の残高900に対して、来期の貸倒を2%と見積もったとします。そうすると、900の2%である45が貸倒見積額になります。また、当期末時点で貸倒引当金の残高が20あったとします。
差額補充法の場合は、見積額と残高の差額25を追加します。このときの仕訳は
(貸倒引当金繰入額)25/(貸倒引当金)25
となります。
洗替法で仕訳を行う場合は、いったん期末の残高を0にしてから、見積額を設定します。仕訳は、
(貸倒引当金)20/(貸倒引当金戻入益)20
(貸倒引当金繰入額)45/(貸倒引当金)45
となります。どちらの方法でも、設定された後の貸倒引当金は45になります。なお、貸倒引当金繰入額は費用、貸倒引当金戻入益は収益として処理されます。
次に、来期の期中に貸倒れが発生した時の仕訳を見ていきましょう。
貸倒引当金を設定した場合、来期の期中にその見積の元になった債権の貸倒れが発生した場合は、貸倒引当金から取崩しを行います。
例えば、先ほどの例で来期の貸倒引当金を45に設定したとします。来期になってある取引先が倒産し、売掛金の残高50が回収できず貸倒れになった場合の仕訳を見ていきましょう。
この場合、まず貸倒引当金45が計上されていますのでこれを取崩します。さらに、足りない分の5については、貸倒損失という科目で処理します。したがって、この場合の仕訳は、
(貸倒引当金)45/(売掛金)50
(貸倒損失) 5
となります。この場合は、貸倒損失の5が当期の費用となります。貸倒引当金から取り崩した分については、前期以前の費用としてあらかじめ計上されていることに注意してください。
なお、当期に発生した売掛金などの債権が、貸倒れになった場合は、当期の費用として処理する必要があります。例えば、当期の売掛金10が当期に貸倒れになった場合の仕訳は、
(貸倒損失)10/(売掛金)10
となります。
★この講座の完全版は中小企業診断士 通勤講座「2-2 簿記の基礎知識」にあります。
http://manabiz.jp/course02b.html

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