最初のブランチは、「マーケティングの基礎」です。
まず、マーケティングとは何でしょうか?
一般的には、新商品の企画を作成したり、顧客のリサーチをしたり、プロモーションをすることなどを思い浮かべる人もいるかもしれません。それもマーケティング活動の一部ですが、近年のマーケティングの定義では、もっと広い概念となっています。
マーケティングの定義にはさまざまなものがありますが、一言で表せば「売れる仕組みづくり」と言えるでしょう。つまり、どうすれば顧客のニーズを満たすことができるかを考えて、そのための商品やサービスを作り出し、顧客に価値を届ける一連のプロセスがマーケティングです。
マーケティングは、販売、すなわちセリングとは異なります。セリングは、商品があるのが前提で、その商品を営業活動により顧客に販売することです。それに対してマーケティングは、まず顧客がどんなニーズを持っているのかを調査することで商品やサービスを作り出し、顧客とのコミュニケーションを通じて商品を知ってもらい、顧客が満足する交換を成立させることです。
マーケティング論で有名なコトラーは、「マーケティングとは、個人や集団が、製品および価値の創造と交換を通じて、そのニーズや欲求を満たす社会的・管理的プロセスである」と述べています。少し難しいですが、ポイントは、「価値の創造と交換」ということと、「ニーズと欲求を満たすプロセス」であるということです。
また、AMA(米国マーケティング協会)が2004年に改訂したマーケティングの定義では、「マーケティングとは、顧客に対して価値を創造し、コミュニケーションを行い、価値を届けるための一連のプロセスであり、さらに、組織とステークホルダーの両者が利益を得る方法で、顧客関係を管理するための一連のプロセスである。」としています。長いので全部覚える必要はありませんが、ポイントは「価値を創造し、コミュニケーションを行い、価値を届けるプロセス」だということと、「組織とステークホルダーが利益を得る」ということです。つまり、お互いが満足するような「交換」を成立させるような活動がマーケティングです。
補足ですが、もう少し簡単なマーケティングの定義としては、ドラッカーが述べている「マーケティングの究極の目標は、セリングを不要にすることである」や、レビットが述べている「マーケティングとは、顧客の創造である」というものもあります。これらの定義を見ると、「売れる仕組みづくり」という雰囲気が伝わってくると思います。また、マーケティングは経営にとって非常に重要であることがわかります。
このように、近年ではマーケティングは幅広い概念になっていますが、初めからそうだったわけではなく、以前は限定されたコンセプトでした。次に、マーケティングのコンセプトの発展を見ていきましょう。
マーケティングの概念は米国で生まれましたが、最初のコンセプトは生産志向です。これは、20世紀初頭の米国で生まれました。この時代は、自動車産業においてフォードが大量生産の仕組みを導入しはじめた頃です。モノが不足しており、作れば作るだけ売れる時代だったため、生産効率を向上させることが経営のテーマとなりました。生産志向は、需要が供給を上回っている場合の考え方です。
次の時代のコンセプトは、製品志向です。生産性が高まってくると供給が需要に追いついてきます。そうなると、より良い製品を作り、改良することで顧客に買ってもらおうとする製品志向のコンセプトが出てきました。製品志向では、顧客のニーズはあまり考えずに、良い製品であれば買ってくれるはずだという考え方です。
この考え方は、生産志向よりは進歩したと言えますが、一歩間違えると顧客のニーズとはかけ離れた製品を開発してしまう恐れがあります。企業戦略の講座でも学習しましたが、このように顧客の視点がない状態をマーケティング・マイオピア(近視眼)と呼びます。
次の時代のコンセプトは、販売指向です。大量生産が可能になると、企業は過剰在庫を抱えるようになりました。そうなると、製品をいかに販売するかを重視する販売指向のコンセプトが出てきました。販売指向では、いかに効率的に販売するかがテーマです。つまり、セリングを重視する考え方です。しかし、一歩間違えると、顧客のニーズを無視して、押し売りのような販売方法が横行することが問題点でした。
次のコンセプトは、顧客志向、別名、マーケティング志向です。顧客志向は、モノがあふれてきて、供給が需要を上回る成熟市場におけるコンセプトです。顧客志向は、顧客のニーズを探り、顧客満足を満たす製品を提供していこうという考え方です。販売指向が製品を売りさばくプロダクト・アウトと呼ばれるのに対し、顧客志向は顧客ニーズから入るマーケット・インであると呼ばれます。顧客志向は、現代のような成熟市場では主流になっているマーケティング・コンセプトです。
さらに、次のコンセプトとして、社会志向というものがあります。社会志向は、顧客満足だけでなく、社会全体に対する責任や貢献を果たしていこうという考え方です。企業も社会の一員として、企業の利益と、顧客満足、および社会の利益を調和させていくのが社会志向です。
★マインドマップを含めたこの講座の完全版は中小企業診断士 通勤講座「1-9 マーケティング概要とプロセス」にあります。
http://manabiz.jp/course01i.html
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